お盆は日本の良き伝統・文化。

お盆は夏の風物詩。地方によって7月と8月のちがいはありますが、今も私たちの暮らしに根付いています。お盆と言えばお仏壇やお寺と結びつき、仏教と関連の深いイメージがあります。しかし同じ仏教国であるアジア諸国には日本のような風習はないようです。
そこでここでは日本ならではのお盆がどのようにして生まれていったかを考えてみました。


日本の祖先信仰と結びついたお盆

日本では、仏教が伝来する以前から「御霊(魂)祭り」など、祖先の霊を迎える風習がありました。たとえば古代の日本では、新年最初の満月の日と半年後の満月の日、春分の頃と秋分の頃に祖霊を祀る風習があったようです。そこに大陸から伝わった仏教にある「ウランバナ」の教えが結びついたのが盂蘭盆です。お盆は盂蘭盆が略された言葉です。
その教えでは、お釈迦様の弟子の目連が、お釈迦様に教えを請うことで死後の世界で飢えに苦しんでいる母が成仏できたことが説かれています。そしてその日が7月15日であったことから、この日は先祖供養の大切な日となったと伝えられています。

朝廷から上層階級、一般庶民へ浸透

日本では様々な説がありますが推古天皇(606年)の時代、僧と尼を招き食事や様々な仏事を行う法会である=斎会(さいえ)=が行われ、このスタイルが現在の「お盆」の起源になったようです。
朝廷から始まったお盆の習慣はこの後、武家・貴族・僧侶・宮廷などの上層階級で主に催されるようになりました。その後、一般庶民に広まったのは江戸時代になってからと考えられています。江戸時代になると町人がある程度の財政力をもってきたこと。そして仏壇の普及や盆提灯に使われるロウソクの大量生産ができる技術や流通の発達とともにお盆行事が広く根付いていったと推測されます。


「精霊迎え」や「精霊送り」などの習慣

現在では、お盆の期間は13日から16日までのところが多いようです。これは「精霊迎え」や「精霊送り」など先祖を迎える習慣があるからだと考えられています。
13日の夕方か夜に菩提寺とお墓に参り、祖先の霊を迎えることを「精霊迎え」と言います。この時に霊が迷わず帰ってこられるように焚くのが「迎え火」です。地方によってはお墓からの道筋に、たくさんの松明かりを灯すところもあります。

そして、16日は送り盆です。
この日に、お盆の間の一緒にすごした祖先の霊を送り出すことを「精霊送り」と言います。この時に「送り火」を焚くことも広くおこなわれています。
お盆が宮廷や上層階級に留まらず、庶民に普及していったのは元々日本人が持ち合わせていた「祖先を供養する心」と固く結びついたからでしょう。そういった日本の良き文化や風習があったからこそ「お盆」は今日まで受け継がれてきています。

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